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June 23, 2007

人・カクテル

さあ、カクテルを作ります。
まずは僕のストレートな感情の果汁を。
そこに人々の優しさ、愛情のスピリッツを注ぎます。
混ぜてテイスティング。

「素敵な味ね」

でも何か物足りない。

もう少しわがまま入れてもいいかな。
ほんの少し・・・入れました。

では、氷を入れてシェイク。
しっかりかき混ぜてかき混ぜて。

後は冷たいグラスに注ぎましょう。

「どうぞ」

そっとシンクにシェイカーを。
シェイカーの底にちょっと残ったカクテルを。
できた味をそこで確かめて。

その味はとっても複雑な、そして苦く飲み込めるものじゃない事を知る。

お出ししたカクテルに口をつけて顔をしかめる人。
僕はそれを見てどうしようもなく申し訳なく思ってる。

もっと美味しくできているものと思い込んで。
素晴らしい素材を組み合わせて作った自慢のカクテルは、僕の勝手な思い込みによってとんでもない味に姿を変えていた。
取り返しのつかない今、どう対応していくべきか、カウンターの中でしどろもどろ。
素材の本当の味をもっと感じて、想像して。
それらを組み合わせたらどうなるかを自ら味見をして。
そこでやっとお出しできるカクテルになるはずで。

僕の勝手な思い込み。
どこからか膨らんだ自信がこうさせたのか。

もう一度作り直そう。
今すぐ作り直してお取り替えさせてもらおう。

「申し訳ございません。そちらのお飲物を取替えさせていただけませんでしょうか?」

僕は深々と頭を下げていた。

そしてもう一度。
わがままを入れないレシピで。
きっと出来るさ。
美味しいカクテル。

作りましょう。
まずは僕のストレートな感情の果汁。それから人々の優しさ、愛情のスピリッツ・・・。
ひとつひとつメジャーで測ってシェイカーに向き合って。
混ざって冷えた状態を精一杯の経験で僕は想像しながら味見をして。
そう。思いやりを入れよう。

自信を確信に。
気持ちを込めて真剣に作ります。

きっと今度は美味しいカクテルが出来上がるはず。

美味しいカクテル。。。

投稿者 litfie : June 23, 2007 09:48 PM

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